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2009/11/17 9:07 am

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2005/08/12 12:00 am

【優れた会社になるためにITは役立つか?】
庄司 貞雄
  

多くの企業の業績アップに実績のある友人のコンサルタントが常々言っています。「優れた会社(企業)を作るのに大切なのは理想や志に基づいた経営理念であり、その価値を従業員やお客様と共有することである」と。その実例としてあげられたいくつかの企業(大会社ではありません。地方の中堅会社で、その地域で圧倒的な人気商品を販売していたり、多くのお客様に愛されていたりする会社です)は、経営者の信念が従業員に浸透し、初めて訪れたお客様が感動するようなサービスを提供しています。当然ながら業績も良く、同業他社からベンチマーキングの対象にされたりもしています。その業績の秘密にはどこにもITの文字はなく、地域の会社にとってITの導入は成功とは無関係ではないかと思えるほどです。そんな疑問を抱きながら聴講した日本経営品質賞の受賞企業報告会の中で、面白い話を聴きましたので、紹介したいと思います。

日本経営品質賞とは、「卓越した経営」を目指した経営の変革を支援するため、1995年に創設された表彰制度で、単に優れた企業を表彰するだけでなく「経営品質向上プログラム」に基づいた企業・組織の成長と革新を促すことを目的としています。大企業だけでなく、中小企業も表彰の対象となっています。「卓越した経営」とは、組織の理想とする姿を目指した経営革新の実践と学習を重ねることで、世界に通用するトップレベルの顧客価値、社員価値、財務価値の成果を生み続ける経営を言います。先の友人のコンサルタントの言葉で言えば、「百年続く企業であるための経営」ということになります。経営品質は経営に関する方法や展開の7つの領域と業績(財務的なものだけでなく、社員満足や顧客満足も含まれます)で評価されます。逆に言えば、この7つの領域に着目して経営活動の質を高めて行けば、経営品質が向上するとも言えます。7つの領域とは、

(1)経営幹部のリーダーシップ
(2)経営における社会的責任
(3)顧客・市場の理解と対応
(4)戦略の策定と展開
(5)個人と組織の能力向上
(6)顧客価値創造のプロセス
(7)情報マネジメント

です。私達ITコーディネータが活躍する場が(7)情報マネジメントとして含まれています。

さて、日本経営品質賞の受賞企業報告会の中で聴いた面白い話とは、2002年度の受賞企業「ネッツトヨタ南国(株)(受賞当時はトヨタビスタ高知(株))」の話です。ネッツトヨタ南国(株)は受賞当時、高知に1店舗だけのショウルーム兼整備工場を構えるトヨタ系の自動車販売会社で、100人足らずの従業員ながら、全国308社のトヨタ系販売会社の中でお客様満足度(CS)連続日本一を達成している会社です。その社長:横田英毅氏は創業当時から25年間、実質的な経営者であり続けている方で、経営者というよりは学者といったイメージの柔らかい語り口が印象的な方です。ネッツトヨタ南国(株)の事業形態は訪問販売を一切しないというところに特徴があり、そのためお客様が自然に来訪していただける店作りをしなければならないということで顧客満足の向上を目指すのは当然と私は考えていました。ところが、横田社長はCSではなく従業員満足(ES)を第一優先にしていると公言しており、それがなぜCS日本一に結びつくのか不思議な感じがします。実は、ネッツトヨタ南国(株)の創業当時は、自動車の販売員は訪問販売による販売台数のノルマなどの厳しさから成り手が少なく、従業員を確保するため、訪問販売はせず従業員満足を第一優先にするという経営判断が自然にできたようです。しかし、そこからCS連続日本一の企業を創るところが横田社長の卓越した手腕で、横田社長は徹底して従業員自らが考えて行動する文化を創り続けて来ました。横田社長のリーダーシップは、社長がカリスマ的に指示を出したり率先垂範したりするのではなく、300にもなる地道な施策を20年以上継続することによって、社員が問題の本質を自分達で発見し自分達で解決できるような文化を育む人創りにあったようです。日本経営品質賞の受賞式や報告会でも、他の受賞企業はCS推進室長や経営企画本部長などが登場するのに、ネッツトヨタ南国(株)だけは、入社4、5年目の接客係りの女性や整備エンジニアが登場して目を輝かせて話をしており、聴いていて感動を覚える程でした。指示されたのではなく、従業員が自らお客様を大切にしたいと思い、その結果がCS日本一と業績の継続的な向上に繋がっているようです。横田社長は「自分は今や社内では霞です」と笑っておられました。

ここまでの話で、ITは一切出てきません。やはり優れた企業を創るのは経営理念と社員の育成か、というところで思いがけずITの話が出てきて驚きました。ネッツトヨタ南国(株)では、店舗に来たお客さまに即座に適切な対応をするために、声掛けボードという仕掛けを工夫していたそうです。これは、来訪予定のお客様の情報を予め掲示板に貼っておき、接客係りの誰でもがお客様の来訪と同時にお客様の名前を呼んで親しみを込めた対応ができるようにするためのものです。お客様は担当セールスマンでもない接客係りからも自分のことを理解してもらっているという満足感を味わいます。ところがCS日本一の評判でお客様が増えボードに貼ってあるお客様の情報も増えるに従い、接客係りがボードから情報を読み取るのに時間がかかりお客さまを入り口で待たせるケースが出てきたそうです。それに気づいた接客係り達の提案で、その解決策としてITシステムの利用が決まりました。それはNICO!(Netz-Nangoku Impressive Communication Organizer)というシステムで、店外スタッフが近づいて来る車のナンバーをトランシーバーで連絡し、接客係りが店内で顧客情報を検索し、お客様が入り口にたどりつく頃には顧客情報が入手できているという、一種のCRM(Customer Relationship Management)システムです。気をつけたいのは、CSを改善する手段としてIT(CRMシステム)を導入したのではなく、CSの追及がITの利用にたどりついた、いわば必然的な帰結だったということです。

よく言われるように、ITは経営のための単なる道具です。道具を導入したからといって急に経営が良くなるわけではなく、道具を使って何をしたいのか、どのような経営を行おうとしているのかが大切だと思います。その理念と実現策が明確であれば、必然的にどのようなITシステムを導入すれば良いのか見えてくるのではないでしょうか。私達ITコーディネータは、それをいっしょに考える役割を担っていると思います。

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2005/07/24 12:00 am

【ルアーフィッシングに於ける戦略性(強引編)】
白鳥 健次
  

 海のルアーフィッシングが好きである。リールを取付けたロッド(竿)から伸びたライン(糸)の先に、プラスティックやバルサ材、金属等で作られたルアー(疑似餌)を取り付け、力いっぱい水平線に向けてキャストする。そしてリールを廻してラインを巻き取り、ルアーを泳がせる。これを何十回、何百回と繰り返す。

 私のメインターゲットはスズキ(鱸)という魚である。刺身や洗いで食することの多い白身のこの魚は、南は九州から本州下北半島迄が生息域と言われ、同じ緯度の中国大陸にも生息する。日本ではルアーフィッシングの人気ターゲットであるこの魚は、欧米等他の地域には生息していない。この魚は成長するにつれて呼名がセイゴ、フッコ、スズキと変わる出世魚でもある。スズキと呼ばれるのは60cm以上であるが、ルアーフィッシングではサイズに関係なくシーバスと呼んでいる。20cmでも80cmでもシーバスには違いないが、釣人が狙っているのは勿論スズキサイズのシーバスである。釣り場では少しでも大きなサイズの獲物を釣り上げた人が偉いのである。

 この魚が釣人を虜にするのは、その暴力的なファイトにある。ヒットした瞬間からエラ洗いと呼ばれる強力なヘッドシェイクを繰り返し、縦横無尽に暴れまわり最後迄息が抜けない。丁寧に取り込もうとしても、強引に引き寄せてもルアーのフック(針)が外れバレてしまう。何時間もキャストしてやっとヒットした魚を取込み寸前のエラ洗い一発で逃がしてしまったことも一度や二度では無い。この難しさがこの釣りを魅力的にしている。

1.仮説と検証

 この魚を手にする為には、ルアーの巻き取りスピードや泳がせる水深を変えたり、別のルアーに交換したり、様々な志向錯誤を繰り返してその日のヒットパターンを模索する。その日の天気、潮位、水温等の状況を捉え、過去の実績とマッチングさせて最適パターンの仮説を立てる。それを試しては修正し直すことを繰り返す。それでも反応が無い状況が続き、疲労とダルさで頭がボーっとしかけた頃にそれは突然やって来る。ガツンとひったくられるようなアタリがあった瞬間に、体が反射的にロッドを立てて思いっきり合わせを入れている。それからは止まりかけの思考回路が物凄い早さで動き出し、遙彼方で暴れる獲物を取り込む為の確実な方法を考え出す。途中の障害物をどうやって避けるか、ラインが根ズレして切れないか、強引なやり取りで口切れしないか、この時ばかりは過去の経験が物を言う。色々なことを考えながらリールを巻くが、大物がヒットした時にはリールからラインが数十メートルも引出され、巻いては引出されることを繰り返して、何とか近くに寄せる迄に数分を要することも珍しいことでは無い。リールを巻取りグングンと引き込む魚の感触を楽しみながら手元へ取り込む迄は、アドレナリンやドーパミンが噴出す至極の時間である。

2.情報装備

 東北では決して魚影が濃いとは言えないこの魚をヒットさせる為に、釣人は様々な努力をしている。様々な情報を元に釣り場所を選択したり(これは殆ど当てにはならないが)、釣り場所の状況(潮位、水温、水深等)によって釣り方や道具を変えたりしている。技術や道具の良し悪し以外に、情報とその状況判断によって釣果が大幅に変わるからである。隣の釣人が入れ食いなのに、自分はアタリすら無いということでさえ良くある話である。ちなみに「雰囲気は良い感じなんだけどねえ」とか、「昨日迄は良かったのに」とか、大抵の釣人は幾つもの言い訳を持っている。

 少しでも結果を良くする為に道具にお金をかけるのは、ゴルフやウィンタースポーツ等他の娯楽と同じである。ボロンやチタンのような新素材で出来たロッドや、ベアリングを何十個も使い回転性能を高めたリール、重心移動機構を搭載して飛距離upを図ったルアー等、メーカーから次々と出荷される目新しい道具を、ついつい買い込んでしまう。私の知合いには買い込んだ釣具代で車を買える人が何人もいる。もっとも投資した費用と結果が必ずしも比例しないことは他の娯楽と同様である。

3.アルゴリズム

 ルアーフィッシングはその名のとおりルアーを泳がせ、ターゲットの魚が普段捕食している小魚のフリをして誘う釣りである。この為ルアーは泳ぎ方や形状、模様等をイワシやサヨリ等の小魚に似るようにイミテートされている。自然界に生息している小魚等を模範している色合いはナチュラルカラーと呼ばれ、従来からルアーカラーの基本となっている。

 スズキは日中は沖合いに居て、夜になると岸辺に近づき餌を捕食する夜行性の魚である。従って港湾や砂浜等から狙う場合は主に夜中が釣行時間帯になる。夜に使うルアーはナチュラルカラーの他に、暗闇でも視界性が良いように白っぽい色や黄色い色の物を使うことがある。このような色合いのものはアピールカラーと呼ばれ、魚からの視界性も良い。釣り場所で小魚が群れているので、それと似た模様のナチュラルカラーのルアーを何度キャストしても全く反応が無い時に、パールホワイトのルアーに交換したら一発でヒットしたということは良くある話である。但し、数多くの釣人に攻められ魚がスレきった場所では、アピールカラーが逆効果になる場合がある。釣人はナチュラルカラーとアピールカラーを状況に合わせて使い分けている。

 アピールカラーの中でも一際目を引くのが、ホワイトベースのボディに頭部のみを赤くした「レッドヘッド」と呼ばれているものである。全くルアーの知識が無い人にそれを見せると誰もが「そんな色で釣れるの?」という反応を示す。自然界にはそのような模様の魚は決して存在しない。小魚をイミテートするのがルアーなら、そのような模様のルアーで釣れるはずは無いと言うのである。誰でもそう思うだろうし、私も当初はそう思ってあまりその模様のルアーは使用しなかった。

 ところがこれが良く釣れる。私の夜の釣果の半数はレッドヘッドを使用した結果である。赤色の部分が小魚のエラの部分の朱色に見えるからだとか、暗闇ではベースの白だけが見えて実際のサイズより小さく見えるのでスズキが捕食しやすいからだとか、いくつかの諸説があるが、本当のところは判らない。ただルアーローテーションを繰り返していると何故かレッドヘッドだけにスズキが反応することが多いのは事実である。夜だけでなく朝方の明るい時でも釣れてしまうこともあるので、ますます理由は判らない。

4.不確実性と遊戯性

 よくルアーフィッシングの何が面白いのかと聞かれるが、そもそもエサでも釣れるスズキという魚を、ルアーで狙うということ自体がゲーム性を高くしている。また、ルアーに食いついてくる魚は活性の高い大物であることが多いということも挙げられる。そして何より面白いのは「運」の占める割合が大きいということである。何十年もその場所に通っている人が釣れてなくても、初めてロッドを振る初心者が釣上げてしまうことがあるのである。その不確実性が釣人を引き付ける。思いどおりにならないから飽きないのである。スズキ釣師の永遠の夢であるメーターオーバーを目指して、シーズンオフの12月迄、週末は寝不足の日々がもう少し続きそうである。

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